悲愛伊邪那美

ラスボスネタバレ















生きたかった。行きたかった。逝きたくなかった。
再度貴方の御許へ還ることを赦されたのならば、わたしは真っ先に公の許へと参ろう。そう心に誓いたもうた。けれど。
わたしの体は今腐敗し、蛆虫どもがわらわらと沸き、貴方だけには目に映していただきたくなかった。もしそのような淫らなことがあろうものなら、わたしは我を失い、もはや貴方を黄泉へと誘うやもしれぬ。
「けして、明かりなど点けぬと契りを交わしてくださいませ。わたしが話を終えるまで、この姿を御許の目に映さぬよう」
「承知している」


――あなたはそう仰せになられたというのに


気付けばわたしはわたしではない、ただ怒り狂うあやかしとなり果てた。黄泉醜女と多勢の黄泉軍を従え、伊邪那岐神に追っ手などを放つ。
結局、あなたには逃げられてしまったけれど。





「あぁ、右って判る? お箸持つ方ね」
「わかるもん」
 この人間ばかりの世界で、またいい駒を――見つけた。適当に世間話でもしていれば、簡単に丸め込めるのが人間って生き物。いまどきの高校生が興味を持ちそうなバイトあたりの話をしてみれば、ほら、簡単に警戒なんて解けた。握手さえ結べばこちらのものだ。せいぜい躍らされていればいい。
「よろしく」




 さあ、次は君が私を追う番だ。
 黄泉比良坂で待ってるよ。

 わたしの愛しいひと――――


――――
10分で書いた代物。
イザナミさんはちょっとズレたヤンデレだと思っている。

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