立花が落合を裏切ったあたり

「くそっ……」
 病室で一人、頭を抱える。
 立花りくは、つい先程まで意識不明だった。目覚めたときには彼の片割れの落合ハルが居たのだが、今はもういない。追い出した……というより、そうなるように仕向けたのだ。
 今はとにかく、一人になりたかった。
「意味が判らない……」
 いつもなら笑顔ばかり見せる彼の顔だが、今は笑顔が消えていた。当たり前といえば当たり前だ。彼は裏切ったのだ。まわりのすべてを。
 そして、裏切ってやったはずのハルをシャドウから庇って倒れた。自分のことながら意味が判らない。
 裏切られておいてなお、昏睡状態にあった立花の病室を毎日訪れていたらしい片割れのほうも、全く意味が判らないが。

 気付けば日も傾きつつあった。このまま夜になったら抜け出して、どこかで死んでやろうか……。そんな考えがよぎる。
(俺も陰険になったよな、しかし)
 手の甲で目を覆う。
 一ヶ月くらい前は、本当に楽しかったのに。そうだ、あの事件から俺はこうなってしまったんだ。あのときのことなど、思い出したくもないが。
 ……もう、考えることにさえ疲れた。
 このまま何も考えずに眠りたい。だが、そんなことをしている暇はない。明日になればきっと桐条が来る。ユニバースを使えばあるいは、とも考えたが、今この状態で使えば自分の体がもたないかもしれない。
(……そうなった方がいいのかもしれないな)

「タナトス……」



――
とりあえずここまで。完成したら小説のほうにあげときます

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